なおの信号馬鹿談義

2008年4月10日 (木)

東急のATCについて②

左が停止現示(パターン発生中) 右が進行現示 前回に続き、東急のATCについて解説していきます。

田園都市線に続き東横線でも同様のATCが導入されましたが、東横線には踏切が存在するため、安全に踏切が閉まるまでもしくは支障がある場合は、踏切に接近するに従って指示速度を徐々に低下させて最終的に15km/hまで速度を落とす機構を付加しました。

また、駅停車制御は指示速度を変えず、代わりに停車駅手前500mの位置にトランスポンダ(地上子)を設けて駅停車パターンを発生させ、大きなオーバーランを防止しています。これは全停車駅の約500m手前から停止位置数m先に45km/hまでのパターンを設定し、その地点を超えた場合は速度に関係なく非常制動がかかる仕組みです。ATS-Pの停車駅用といったもので、冒進防止のために役立っています。パターン生成はトランスポンダとのやり取りで決められ、パターンが生まれるとパイロットランプの隣にある赤いランプが点灯します。生成されたパターンは基本的に停車して開扉でリセットされます。(回送列車などの場合も特急停車駅はパターンが生成されるので停車しなくてはなりません、しかし例外的に特急停車駅ですでに前方が開通(種別表示機に『回』が表示)している状態の時のみ5km/h以下でリセットされます。)

ORP開始地点ORS表示灯A点標識

終端駅や停止信号から分岐器まで余裕のない箇所ではORSやORP(過走防護パターン)を採用しています。ORSは閉塞内に進入し、一定時間内に列車を停めないと非常ブレーキがかかるというものです。以前は田園都市線を中心に設置されていましたが、現在では多くが後述のORPになりました。東横線では自由が丘(上り)に設置されています。ORPはTrainSimulator+電車でGo!東京急行編の渋谷駅で再現した機能で、25km.hもしくは35km/hから7.5km/hまでのパターンを発生させ、さらに一部箇所では特殊なPEP信号(ピヨピヨ音を発する)を受信することにより5.5km/hまでのパターンを受けます。そのパターンを超過するか、ORPの終端点である『A点』を超えると非常停止になるので、安全性を高めるとともに進入速度の向上を実現しました。渋谷駅の他、中目黒や自由が丘(下り)、武蔵小杉、元住吉、横浜、元町・中華街駅などにも設置されています。ごく一部ですが、ORSとORPを組み合わせた箇所もあります。

このような当時最新の技術を生かした新ATCは、ATS-PやデジタルATCの開発などその後の保安装置の発展に大きな進化をもたらしました。

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2008年2月13日 (水)

東急のATCについて①

大井町線に導入予定の新型ATC-P 今回から2回にわたって東急のATCについて解説していきます。

東急のATCは一段制御方式CS-ATCと呼ばれるもので、従来のATCよりも先行列車まで高速で接近ができるという特徴があります。
東急田園都市線(当時は新玉川線区間)も平成に入るまでは従来型のATCを利用していましたが、急増する乗客により遅延が慢性化し、それを解消すべく新ATCの開発に乗り出しました。開発にあたって、安全を保ちながら先行列車との間隔を狭くし、30秒程度運転間隔が縮められるよう設計され、深夜に何度も実験が行われました。
平成3年に正式に採用となり、運転間隔は設計上115秒間隔まで縮めることができ、一旦は問題が解消されましたが、ここ数年は乗客の増加でほぼ毎朝遅延する状態が続いており、準急の導入を行いましたが、抜本的な解決には至っていません。

さて、この一段制御方式CS-ATCの特徴は、閉塞区間長を40m~300m程度に区切り、先行列車手前もしくは停止信号まで照査パターン(常用最大ブレーキパターン)を生成することで、先行列車・停止信号まで高速で接近することを可能にしていることです。
また、指示速度が走行速度を下回り、自動的にブレーキがかかっても照査パターン速度より走行速度が低ければ、ハーフブレーキ(常用最大ブレーキの半分程度の減速度)にて列車を減速させることで乗り心地を向上させています。
駅進入時は駅停車制御と呼ばれる機構が働きます。駅手前の閉塞から指示速度が停止位置に近づくにつれて低下し、その間で走行速度が指示速度を上回ると非常ブレーキがかかります。
また停止位置の次の閉塞を超えた場合すなわちオーバーランした場合は、安全にバックができるように後方防護と呼ばれる列車後方の数閉塞に停止信号を出す機能が働きます。これは、列車の最後尾がオーバーランで数閉塞抜けてしまうと後方の列車がその分接近できてしまうため、それを防ぐ目的で設けられました。

次回は主に東横線のATCについて詳しく説明します。

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2007年12月12日 (水)

信号現示の裏話

ダイヤチェック  TrainSimulator・Railfanで採用しているラッシュダイヤ、ゲームの醍醐味の一つですが、その裏では地道な作業と秒単位の調整、そして想像力(?)が隠されています。

 先行列車の位置を設定するにあたり、鉄道会社さんからいただいた5~7種類のある資料を元に行います。しかし、ラッシュ時の先行列車の走行位置を示す資料などはありませんので、まずは先行列車との距離が比較的離れているダイヤにて現示の設定をし、それを土台にラッシュ時の設定を行っていきます。ダイヤグラムの昼とラッシュの駅間所要時間の差・グラフの傾きなどから先行列車の動きを粗方予想し、昼との閉塞通過時間の差を別の資料を参照しながら考えます。特に先行列車のすぐ前に列車が走っている場合などの設定難易度は頂点を極めます。

 中でもRailfanの京阪K特急の朝ラッシュダイヤは、大変苦労しました。特に香里園~京橋までの区間では先行列車が急行(寝屋川市・守口市・京橋停車)でさらにその先の列車が準急(寝屋川市・萱島・京橋停車)なので、先行列車は寝屋川市を出るとゆっくり進み、萱島手前では停止信号を受けることが予想できます。その後は前の準急の“尻なめ運転”を行い、守口市に停車します。準急は守口市には停車しないので間隔は大分空きます。つまり先行列車は守口市~京橋手前までは速度を上げて運転します。これらの情報を元に現示の設定を行いました。

 全体ができたら、実際に乗車してチェックを行った上で、実際にゲームを運転してみて、ダイヤに入るのか、時間が余りすぎないか、先行列車の流れは適切かなどの確認をし、運転士さんチェックを受けることになります。チェックでは、大抵、挙動の指摘も受けるので、そちらが完了してから、現示の修正を行わないとダイヤに入らなくなる場合があります。その後、修正・微調整を行い、マスターに送られます。

 また細かいところも再現するように心がけています。従来、ダイヤごとの現示変化のタイミング(先行列車の走行位置)は同じでしたが、TrainSimulator京成・都営浅草・京急線からは1秒~10秒のラグを設定しました。これにより“同じ攻略法”ではなく実際と同じように運転をする必要があり、また先行列車の動きを予想して運転しなければ、遅延しうる場合もあります。またダイヤ変化のタイミングが秒単位だったのを、コンマ1秒単位にしました。さらには一部の信号機にて現示アップする際、一瞬警戒or減速が現示するように設定(例:三条出発信号や香里園遠方信号など)し、現実に即した再現を行いました。

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2007年10月26日 (金)

鉄道会社のダイヤにおける特徴について

Img_9953  今回は信号から少し話を離れてダイヤについて述べたいと思います。ダイヤを作成するに当たり、まず、車両の性能や各制限速度などから割り出した運転曲線(ランカーブ)を利用します。次に、優等列車をどの駅に止めるのか、種別はいくつにするのか、ラッシュ時の種別・停車駅はどうするのか、など様々な課題と直面し、採用・妥協を繰り返して決定していきます。特に朝ラッシュでは、遅延を生じないように各鉄道会社は様々な手法を取り入れており、大きく3パターンに分けることができます。

1.“途中は乗せないよ”タイプ
 例としては、西武池袋線(通急)・東武東上線(通急)・京阪本線(K特急)・阪急京都線(通勤特急)・近鉄南大阪線(急行)などが挙げられます。特徴として、追越し設備が整っている(もしくは複々線など)、比較的遠い郊外からの乗客が多い、途中大きな衛星都市(川越・高槻・枚方など)があるなどの傾向があります。

2.“どんどん乗れ”タイプ
 こちらは、京王井の頭線、JR中央線、3月のダイヤ改正以降の東急田園都市線などが挙げられます。これらの路線では、朝ラッシュのほとんどのダイヤが各駅停車で運転されています。その理由として、追越し可能な駅が少ない、優等を設定するとその列車に集中してしまい遅延が生じやすいことがいえます。

3.中間タイプ
 1・2の中間のタイプとしては、京王本線・小田急線・東急東横線・阪神本線などが挙げられます。特徴として、乗降客数が多いが差の少ない駅がいくつかあり、優等通過が難しいことが挙げられます。

  各鉄道会社のダイヤを決める大きな要素のもう一つにボトルネックの存在が挙げられます。ボトルネックとなる要素は2種類あります。

1.渋滞タイプ
 これはある地点を先頭に列車が集中してしまい、所要時間が大幅に伸びてしまうタイプです。多くの鉄道会社が抱える課題でもあります。顕著なのが、東急田園都市線(渋谷・二子玉川)、東急東横線(中目黒手前)、小田急線(代々木上原~世田谷代田)、京王本線(明大前、千歳烏山)、京阪本線(萱島~寝屋川市)などです。東急田園都市線の池尻大橋~渋谷では、最も混雑した場合、1駅間に4~6本の列車が入り、通過に15分以上かかってしまうこともあります。特に急行の混雑が激しく、3月のダイヤ改正では、二子玉川~渋谷は急行・各停ともに全駅停車にすることで、二子玉川による各停から急行への乗り換えの阻止し、乗車率の均一化を施すことにより、連日の遅延をわずかでも減らそうとする狙いがあります。

2.交差タイプ
 これは平面交差により、同時に進入・発車などができず、わずかな遅れが大幅な遅れになりがちなタイプです。京浜急行(京急蒲田※立体化工事中)、京王(調布※立体化工事中)、名古屋鉄道(枇杷島分岐点)、阪急(淡路※07年度立体化工事開始)、近鉄(古市・西大寺)などが例としてあげられます。中でも、京王(調布)は本線上で主に相模原線方面の列車の折り返しを行い、さらに日中でも本数が多いことから、わずかな遅れが大きな遅延に繋がることもあります。また、阪急(淡路)は駅の両側で平面交差があることから、4方向(北千里・河原町・梅田・天六)同時入線をしており、ダイヤ策定のベースになる箇所です。また曲線半径も小さい箇所があることから、特急は大幅な減速(制限50km/h)を強いられ、ダイヤのスピードアップのネックになっていました。3月から特急は淡路に停車することになり、各方面の乗り継ぎ等も大幅に改善されたようです。同じく、近鉄(西大寺)も同様で、たびたび場内停止を見かけます。

このように、鉄道会社は様々な課題のうちいくつ対応し、いくつ妥協するのかを考え、試行錯誤を繰り返してダイヤ改正をしています。中にはダイヤ改正の時にはもう次の改正ダイヤを考えている会社もあるそうです。

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2007年9月 5日 (水)

ATS-Pについて②

JRのATS-P動作表示灯 ATS-Pは速度制限に対しても引かれます。すべての速度制限ではなく、急カーブや手前で大きな減速が要求される箇所に設置されます。
速度制限に対するパターンは停止信号に対するパターンとは異なる2個連続する地上子から情報を受け取ります。
パターンにあたった場合は、速度制限まで減速させられます。従って、急カーブであっても、速度制限パターン用の地上子を手前に設置しなければ、速度超過する可能性があります。
他にも数多くの機能がついていますが、今回は省略します。

他にATS-Pの機能が省略されたATS-PNがあります。
これは首都圏近郊の列車密度の比較的低い路線で採用されています。
大きな変更点は、車上から地上への情報伝送がなく、高減速車に対する現示アップ機能が省略されたことです。

さらに省略を行ったのがATS-Psで、仙台や新潟近郊で利用されています。
これは原則としてパターンを絶対信号機(出発・場内)にのみ生成するというものです(一部速度制限も生成)。
運転台には現在のパターン速度が表示され、パターンを超過すると非常ブレーキがかかります。今後は終端駅やターミナル駅などを中心に整備されるようです。

JR西で使用される拠点ATS-Pは、列車は駅の前後で間隔が詰まること、駅構内での事故が多いこと、経済的なことを理由に、原則として絶対信号機に対して停止信号パターンが引かれます。
一部を除く閉塞信号機に対してはATS-SWを併用するので、駅間での安全度は従来と変わりません。
速度制限パターンは先述と同様です。130km/hで新快速が駆け抜ける東海道本線(米原~網干)、宝塚線・学研都市線・大和路線の一部で利用されています。

最後にATS-Pは絶対に停止信号を超えることができないわけではありません。その一つの例として挙げられるのが、線路が雨や雪で凍結している場合です。
その際、列車は空転してしまい、減速度は通常より大幅に落ちることになります。
したがって、車輌側で空転を制御するシステム(例:台車の2対の車輪でそれぞれ速度差が40キロ以上になるとATS-P故障状態になる)などを搭載していない限り、絶対安全というわけではないのです。

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2007年3月26日 (月)

ATS-Pについて①

ATS-Pの図 今回から2回にわたってATS-Pについてお話しをします。

ATS-Pはもともと、国鉄(現・JR西日本)でH-ATSという名称で開発が始まり、1988年に京葉線に始めて導入されました。その後、何度か改良が行われ、現在では中央線を始めとする首都圏各線、大阪環状線・阪和線、ほくほく線、山形・秋田新幹線などでも利用されています。

中央線のATS-Pは地上から車上に先行列車や線形などの情報が地上子を経由して送られ、それをもとに車上でパターンを生成します。地上子は、基本的に絶対信号機(場内・出発)の場合は手前に6個、閉塞信号機の場合は4個の地上子が置かれます。さらに、減速度が高い列車(中央線の場合、201系・223系等)の場合、列車側(車上)から地上に「高減速車」という情報が送られ、信号現示が通常とは異なる現示(現示アップ)となります。例えば、通常であれば、R-YY-Y-YG-YG-YG-Gとなる区間が、R-Y-Gという現示となり停止信号までつめられる運転が可能になります。

パターンは信号に関しては停止信号に向かってのみ生成されるので、警戒・注意・減速に対してのパターンはありません。万が一、停止信号に対するパターンにあたり、減速させられる場合は、パターン自体は10km/hまで引かれ、そのまま停止信号に向かって10km/hという形をとりますが、一度当たってしまうと停止するまでブレーキがかかり続けます。その場合、パターンは信号からその先50mまでは15km/hパターンとなり、その先でパターンは無くなります。従って、停止信号パターンにあたった場合は、15km/hをかわす運転方法“くぐり抜け出発”をしなければいけません。現示が上位に変わったという情報は、地上子から列車に伝送されるので、地上が点、車上が連続照査に近い形をとります。
Railfan中央線朝ラッシュダイヤでは、御茶ノ水手前などでパターンと地上子を意識した運転をしないと現示が上がっているのにパターンにあたってしまうので、ご注意ください。

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2007年2月19日 (月)

京阪のATS

八幡市出発信号を通過する3000系 今日は、以前にも話しました京阪のATSについてもう一歩踏み込んだお話をします。

京阪のATSは地上・車上とも点照査です。そのため、照査箇所を過ぎれば加速することができてしまうので、多くの照査が設けられています。
照査方法は地上子(ハンペンのようなもの)を2つ並べて、その通過時間で見るというものです。
運転席の後ろから眺めていると、信号機の直下にいくつか地上子が並んでいます。
例えば、5灯式信号機の場合、信号直下に基準となる地上子、手前やや離れたところに3つ連続して、合計4つの地上子が置かれています。
これは共通地上子とその1つ手前の組み合わせで警戒の、共通地上子とその2つ手前の組み合わせで注意の、共通地上子とその3つ手前の組み合わせで減速の速度照査を行います。
したがって、4灯式は共通地上子と注意、警戒もしくは減速用の計3つの地上子が、3灯式の場合は基準と注意用の2つの地上子が並びます。
また、信号機と信号機の間には15照査と25照査があります(手前に警戒が表示される信号機がある場合、25照査は基本的にありません)。
さらに、絶対信号機(場内や出発)ですぐ先に転轍機などがある場合や終端駅、また誤出発防止用に10照査、5照査などを設置している箇所もあります。

また、停車駅には基本的に誤通過防止用の15照査が設置されていますが、出発信号機の位置の関係で停止位置のずっと手前にある駅もあれば、停止位置付近にある駅もあるので、ゲームではしっかりと場所を覚えておかないとダイヤに入らなくなるかもしれません。

なお、各信号現示の速度制限は以下になります。

・減速(制限65km)
・注意(制限45km)
・警戒(制限25km)

なお、上記のATS動作速度は+5km以上になります。動作させてしまうと、非常ブレーキがかかり強制的に停止させられてしまいますので、ご注意下さい。
また、下り線には4箇所に曲線制限超過用のATSがあります。

・中書島~淀(制限70km)
・淀~八幡市(制限80km)
・野江~京橋(制限70km)
・京橋~天満橋(制限45km)

それぞれ曲線の手前に2~3の照査箇所があります。普通の白い地上子と異なり、茶色の地上子ですので、こちらもすぐに確認ができると思います。
8000系の「-ノッチ」使用であれば、問題なく通過できる照査速度ですが、少しでもブレーキが遅れると引っかかるかもしれません。

音楽館スタッフもちょっぴり苦労する京阪の保安装置です。

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2007年1月22日 (月)

照査について

地上子 今回はこれまでに話してきた私鉄各社のATSに関して、特に「地上・車上」の違いと「点・連続照査」の違いについての補足説明をします。

まず、「地上」というのは、文字のとおりでレール側のことを指します。それに対して、車上というのは、列車側のことを示します。
次に「点照査」というのは、“その場で速度照査をする”ということであり、「連続照査」は“継続して常に照査を続ける”という意味です。
私鉄ATSは、これらのことを元に大きく3タイプに分けられます。

1つ目は、地上が点、車上も点照査という場合です。
このタイプのATSを利用しているのは、主に南海、京阪で、小田急や京王の一部(曲線や終端部等)にも用いられています。
照査は、地上側からは決まった場所のみ(点)で行われます。
照査速度は、2点間の距離(2つの地上子の距離または通過時間など)を基にし、その照査速度情報が車上に伝わり、車上側はその情報をもとに、受けとった時点の走行速度を照らし合わせます。
走行速度が超過していれば、自動的にブレーキをかけるなどの処理が行われます。
したがって、決まった場所のみで照査が行われるので、その箇所を過ぎれば、速度を無制限で加速させることが可能なため、数多くの照査を設置することで事故を防止しています。
また、任意の速度での速度照査が可能なので、曲線手前の速度照査などに利用しやすいという利点もあります。

2つ目は、地上が点、車上が連続照査という場合です。
このタイプのATSを利用しているのは、主に小田急、京王、近鉄です。
なお、ATS-Pも分類ではこのタイプになります(ATS-Pに関しては後日、説明を掲載します)。
照査は、地上側からは決まった場所のみ(点)で、速度照査情報が車上に伝わり、車上側はその情報を受けとった時点から次に地上から情報が伝わるまでつねに照査をし続けます。
もちろん、走行速度が照査速度を上回っている場合には、自動的にブレーキがかかります。
1つ目のATSより安全性を見ると高いといえますが、次の信号が現示アップした場合でも、照査速度情報は次の地上子までは持ち続けるため、閉塞が長かったり、警戒信号などを踏んでいた場合は、長時間の速度制限を受けることになり、列車の遅延の原因になりうるという欠点があります。

3つ目は、地上が連続、車上も連続照査という場合です。
このタイプのATSを利用しているのは、西武、相鉄、阪急、阪神、山陽、西鉄です。照査は、車上は地上側からはつねに照査速度情報を受けています。
そのため、安全性が高い上に、先の信号の現示がアップした場合でもすぐに速度制限が解除となり、効率のいい運転が可能で、ATCに近い機構であるといえます。

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2006年8月11日 (金)

阪急のATS

阪急ATS 阪急のATSは地上・車上ともに連続制御であり、ATCに近い機能を持っています。次の信号現示を確認できなくとも、運転席にある表示板で現在の制限速度が常時表示され、信号現示によって変換するので、効率的な運転が可能です。
進行の場合は、表示はFとなり、減速及びA点は70(制限速度は65kmですが、照査は70km)、注意は50(制限速度は45)、警戒及びA点は30(制限速度は25)、S点は20(制限速度は15)となります。
いきなりA点・S点という聞き慣れない言葉が出てきたのでご説明します。阪急の停止信号まで列車を止める方法は、基本はA点-(S点)-注意信号-A点-S点-停止信号という順番になります。信号と信号の間には必ずA点とS点があります。ただし、注意信号を視認して制動をしても間に合わない距離の場合はA点ではなく減速信号・警戒信号を設けます。先で停止信号が現示されている場合、まずA点(もしくは減速)で70の照査を受けます。次にS点があるのですが、この場合は特に照査はなく、次は注意信号で照査50を受けます。さらに先のA点で30、S点で20を受けることで、停止信号の手前で列車の速度を限りなく低くし、照査速度を超えた場合は常用最大ブレーキが自動的にかかることで安全性を保っています。

また、阪急の場合、停止駅の出発信号もしくは出発相当の閉塞信号は停止定位なので、駅の手前300mくらいで70の照査を、ホーム端で50の照査を受け、駅の先に踏み切り等がある場合は、さらに照査20を受けることで、オーバーランを防いでいます。
ただし、この方式だと停止するまでに時間がかかるという欠点もあります。安全性をより高めて最高速度を115kmに引き上げるため、またその欠点を解消するため、阪急はATS-Pに近い保安装置を開発し、近々、神戸線から順次導入することが決まりました。

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2006年4月24日 (月)

関西私鉄のATS

Kh2 関西各社のATSについてお話しします。

まず、近鉄についてです。
前回お話しした京王と似たATSを用いており、地上側は点で車上側は連続照査であり(95km照査は点)、先の信号の現示が上がった時は、次の地上子までは手前で受けた照査を受け続けます。停止信号の手前には95、65、45、30の照査によって冒進を防いでいます。
また、近鉄の路線である南大阪線系統には警戒信号がありません。そのため列車の同時進入等ができず、例えば近鉄御所線(単線)の近鉄新庄駅(交換駅)では、先に御所から尺土に向かう列車を先に進入させ、一定時間経過後に尺土から御所に向かう列車を進入させます。
また、御所線には進行信号が存在せず、最高現示は注意信号(制限65km)という特徴もあります。

次に京阪のATSについてです。
京阪は地上側・車上側ともに点照査です。照査方法は2つの地上子間の通過時間によるもので、一定時間より短く通過した場合、すなわち速度超過していた場合は、どの速度であっても非常制動がかかり、停止させられてしまいます。
車上側も点なので、照査箇所を通過すれば再加速ができてしまいますが、停止信号手前までに多くの照査があるので、安全性が低いわけではありません。
また、停車駅では、駅手前から減速、注意、警戒、さらに15照査を設置することでオーバーランを防止し、また一定時間までは出発信号を停止にしたままにすることで誤出発を防止しています。

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